映画「無伴奏」

無伴奏は2016年に公開された、直木賞作家・小池真理子の半自叙伝的同名小説を映画化したものです。成海璃子演じる主人公がクラシック音楽の流れる喫茶「無伴奏」で出会ったふたりの青年。演じるのは池松壮亮、そして斎藤工。

1969年といえば学生運動全盛の時代。杜の都仙台を舞台に、流されるように学生運動に身を投じる主人公。無伴奏で出会った青年のひとり、池松壮亮演ずる渉と恋に落ちるが、彼には秘密がありました。

渉の友人祐之介(斎藤工)とその恋人エマ(遠藤新菜)も含め四人の狭い世界。二組の恋人同士の日常を描いた小説が原作。

ものがたりの前半は、そのようにひとりの少女が恋に落ちる様を映し出していますが、それにしては描写が切ないのです。

うつくしい仙台の街並みと自然。凛とした空気感がまるでいっときの恋愛を表現しているような。

なぜ。理由もわからず焦燥感に駆られながらストーリーが進んでゆくのです。

この映画は、まったく知らない方には原作を読まずに見ることをおすすめします。すこしむかしの恋愛小説のように思って映画を見てゆくと、ラストで崖から突き落とされたような衝撃を受けます。

渉と祐之介のどうすることも出来ない「何か」が明かされる後半は、うつくしい景色が絶望と相まって、まばたきするのも惜しいくらい苦しい。すべてを知った響子と、渉と祐之介のそれぞれの決断。

つらくてかなしくて、そしてただただ景色がうつくしい。そんな映画。