新しい視点の朝鮮王朝絵巻『尚衣院(サンイウォン)』

架空の朝鮮王朝時代を描いた映画『尚衣院(サンイウォン)』は、衣装の美しさだけでなく、一風変わった視点で物語が描かれていました。

「尚衣院」とは、李氏朝鮮王室に関わる衣服の仕立て等を行う官庁(部署)です。

そこを舞台に繰り広げられる権力争いや複雑な人間関係の内面、そして恋心をテーマに扱った作品です。

また現代チックにストーリーが描かれ、よそよそしく堅苦しい官服を、主人公の服職人ゴンジンが天才的かつ革命的なデザインで仕立て直し、皆を圧倒します。

その手法は、まるで現代のデザイナーの如く、着る人の個性にあった服に仕上げるオーダーメイドのようなものでした。

対して、伝統職人のドルソクは、彼の才能を認めつつも、自身のこれまでの生き方を否定しかねい彼の手法を受け入れられません。

あくまで彼は、伝統や格式を重んじた衣装を作りました。

純真なゴンジンを結局ドルソクは受け入れられないまま、王宮の権力争いに巻き込まれてしまいます。

ドルソクの心の中では、ゴンジンへの嫉妬心と、衣装への熱意への共感、そして(部下・後輩への)友情の感情がせめぎ合っており、それが理由で最後には悲しい結末を迎えてしまい、それはとても切ないものでした。

その2人の争いとは別に、若きピュアな王妃と、野心丸出しの側室ソイとの対決もとても目を見張るものがありました。

ソイは、兵曹判書 (ピョンジョパンソ。軍事の長官。朝廷の高官)の娘であることで、現王妃を廃して、自分が次の王妃になろうと画策します。

加えてこの時代、朝鮮は中国(映画設定では、弁髪をしていたので清)の冊封体制下にあったので、中国に王や王妃はその地位を認められる必要がありました。

そこで、ソイらは華やかな宴で清の高官らのご機嫌をとり(裏では賄賂も送るのでしょう)、またソイこそ王妃に相応しい人間だと知らしめる為、ソイらは華やかな衣装をドルソクに作るように命じたのでした。

対して王妃には、これといった朝廷の後ろ盾がないので、ソイに勝つ自信がありませんでした。

しかし、そのままでは王妃の地位を失ってしまいます。

そんな気の毒な王妃をゴンジンは味方し、見事に美しい衣服を仕立てたのでした。

ゴンジン・ドルソクの衣装対決は、まるでさながらファッションショーのように表現されて、大変美しいものでした。

こういった、他の韓流時代劇とはまた違う物語構成に驚かされました。